アイスブルーに乾杯

written by 上条葵

ネタバレ:

※ネタバレなし

彼の瞳の色。
青い空の色でもなくて、深い海の色でもなくて。
青を一度他のきれいな色とごちゃまぜにしてから、少し闇を加えて濁したような、彼の色。

そんな深淵のような瞳に、今日も私が映っているなんて、夢みたいね。



「…ポテチ姫、聞いてる?」

「あぁ、ごめんね…キラ」

いけない。瞳に吸い込まれそうになっていた、なんてとても彼には言えない。
話を聞いていなかった私に対し、可愛らしく頬を膨らますキラに思わず笑みがこぼれる。

「頬を膨らましたキラって、なんだかおもちに似てるね」

「またキミはそうやって食べ物の話に…」

「ごめん、」

さっきまでは何の話をしていたんだっけ。
そう‥1時間後のキラの誕生日は何をして過ごそうかという話。

すっかりおもちに話が逸れそうであるが、大事な話だ。
ここは負けてはいけないぞ、敏腕プロデューサー。

「で、今夜は何をして過ごそうか」

「別に普通でいいのに」

さっきからキラはあくまで普通の誕生日を提案してくる。
私とキラの攻防戦。勝利の手は、どちらに?

「スーパーアイドルが普通の誕生日を過ごすなんて!」

「キミがいるだけで特別だよ。少しも普通じゃない」

そう口をとがらせても少しも可愛くなんてないからな!攻防戦も一歩も引かないからな!
そう言い返したいが、可愛いものは可愛い。
このスーパーアイドルめ、自分の使いどころをよく理解してらっしゃる。

彼の中の普通、とは?
キラキラのアイドルで誰よりも輝いていて、みんなの憧れ。
それが、たった一介の新米プロデューサーと寄り添って過ごすことが、特別?
世界の女の子たちから恨みを買いそうなことであるがー

少しもおべっかではないことは、彼の瞳を見ればわかる。

彼はどうしてかいつも‥

本当にどうしてか、どうしようもないほど私に真剣なのだ。

「わかったよ」

「ポテチ姫!」

「いつもの通り、一緒に食事をして、お風呂に入って一緒のベットに寝よう!」

「…ちょっとサービスが良すぎない?どきどきしてきた。」

「お誕生日ですから」

そんなじゃれあいを交わし合っている間にすっかり夜も更け、あと一時間だった誕生日までの時間も今か今かと近づいている。

日付が変わったら、

彼と一緒にお風呂に入ろう。
お風呂上りには一緒に彼とホットミルクを飲もう。

それから、それから

追加でワインなんかも開けちゃって
彼の綺麗な瞳に乾杯しなくちゃ。


「キラのアイスブルーの瞳に、乾杯」


思い切って声に出してみる。
届かないくらいの声ではあったが、彼はすべて私の声を聴きとってしまう。その、綺麗な耳で。

アイスブルーって、初めて言われた。それ、どんな色?今度の新曲の歌詞に入れようかな。
そんな冗談を言ってキラはそっと私に口づけた。


Happy Birth Day!

キラの瞳の色って、何色なんでしょうね。